vol.9|学びのサロン「一人サロン経営」




昨年、京都に移住し自身のサロンを構えた薫森さん。美容師としての長いキャリアを生かし、技術セミナーでは伝えきれない仕事との向き合い方、センスの磨き方などをこれまで語ってくれました。 1年続いた連載ですが、今回が残念ながら最終回。この1年を振り返りつつ、美容師としてのこれからについても伺いました。




SHI/GE
京都府京都市上京区堀松町419 MACHI WORK 御所西3‐F
Instagram @magemori
(お問い合わせや予約について、上記の薫森さん Instagramをご確認ください) 
 



一人は自由だけれど、全て自分の責任

連載の1回目にも話をしましたが、全て一人でやらないといけないので、やることがたくさんあって忙しい毎日です。今までは、髪を切ることに集中できていたけれど、お金の管理もあるし、シャンプーやカラー剤の在庫管理もしないといけない。特にお金の管理は苦手です(笑)。

ただ、やることはたくさんあるのですが、自分のルール、価値観で自由にできるのは一人ならでは。スタッフが大勢いれば、みんなの意見を取り入れながらサロン内のルールができていきますよね。足並みを揃えないといけない場面が多々あるけれど、一人サロンは自分がやりたいようにやることができる。もちろん、自由には責任が伴います。何かあったとき全て自分の責任。

周りからは好きなこと、やりたいことをしていると思われているけれど、実は人の意見に左右されるところもあるんです。やってみたいと心が動いたことに対して「それはやめたほうがいいのでは」とアドバイスされると、やめてしまうこともあって……。あとから「やっぱりやればよかった」と思うこともあり、それがストレスになっていた時期もありました。

だから、一人になったこの1年は、あえて何でも1回やってみることにしました。これを受けなかったら次がないかも…というネガティブなものではなく、チャレンジです。どうしようかと迷うときこそやってみて、自分に合わないことであれば次からは断るように。2年目はこの経験を生かして、判断をしていきたいと思っています



「がんばるより感じる」をモットーに

1年目はとにかく思いつくこと、オファーをいただいたことはできるだけやってきたので、けっこう働きましたね(笑)。がむしゃらに駆け抜けてきたけれど、2年目は「がんばるより感じる」ことを大切にして、自分と同じ方向性の人たちと何かしたいという思いが芽生えています。

当初、1年後には1面増やしてスタッフを入れようかと考えていたのですが、同じ空間で誰かと一緒に働くモードになれず。でも、同じ意思を持った人たちと何かできたら楽しそうという気がしているんです。そのためには「感じる」ことが大切。頭でっかちに考えるのではなく、感覚で行動するのが今年の目標です。

京都は人づき合いが大変そうなイメージがありますが、連載で対談をさせてもらったhakuの白鳥くんのような刺激をもらえる存在もいます。いろんな職種の方とのつながりも少しずつできてきました。このつながりも大切にしていきたいですね。



1カ月の休みをとります。これこそ一人だからできること

6月に1カ月休み、ヨーロッパをまわる予定です。雇われの立場であれば、1カ月も夏休みをとることはできないし、休む時期も他のスタッフと調整しなければいけませんが、一人なので自由。もちろん1カ月も休むとなると利益は減るし、お客様を失うかもしれないというデメリットはあります。

でも、一人だからこそできることをしないのはもったいない。普通じゃない経験ができる環境にいるからこそ、1カ月休むのも挑戦です。 何をするか具体的には決めていないのですが、知人を訪ねながら海外の人の髪に触れる機会をつくれたらと考えています。



参加して満足するセミナーではなく、確実に技術が身につくセミナーをしたい

独立するとき、やってみたいことの一つに、「オーダーメイドのセミナー」をあげていました。

これまで何度も講師を務めてきましたが、時間制限もありますし、参加している美容師さんの技術や知識レベルも様々で伝えきれていないもどかしさがありました。また、技術以外の悩みがある美容師さんもいらっしゃいます。だからこそ、一人一人に合わせたセミナーをやりたいのです。

全員がそうではないけれど、参加したことで満足してしまう人が少なからずいるのが現状です。せっかく技術を教わったのに、身に着かなくては意味がありません。できるようになるまで、継続してフォローできる内容にするのが目標です。 一人一人の技術がレベルアップすることで、僕のお客様ではないけれど間接的に多くの人を魅力的なヘアスタイルにし、笑顔にできる。それが僕にできる社会貢献なのではと思っています。

その準備といういうわけではありませんが、この度カット本を出すことになりました。 僕の技術の特徴であるレザーカットや美容に対しての考え方などをまとめた本です。レザーをさわったことがない人にも参考になるよう、できるだけ簡単にわかりやすく解説しています。この本を携えて、たくさんの方にレザーの良さを伝えられたらいいですね。レザーが使いこなせるようになると施術時間が短縮でき、デザインの幅も広がるので、美容師としてのレベルアップにもつながると思っています。

いずれは世界に向けてレザーの良さを伝えていきたいし、様々な国の人の髪も切りたい、アトリエももてたら……。日本という場所にこだわらず今まで得てきた全てをたくさんの方に伝えていくために、備えをしておきたいです。



↑2025年6月25日に発売となる薫森さんのレザーカット技術をまとめた本。




レザーカット本撮影の裏側を少しお見せしましょう


※全て薫森さん写真提供
↑撮影前にウイッグを何体もカット。


↑巻頭ページのメイクは憧れのUDAさんが担当。UDAさんはパリコレをはじめ数々のショーやCM、雑誌など多方面で活躍。

↑カットプロセスを細かくレクチャー。

↑レザーカットを生かすパーマのデザイン提案も満載。

↑UDAさんにメイクをしてもらう薫森さん。


自分の軸がぶれないよう「こだわり」を持ち続ける

前回、喫茶店めぐりの話をしましたが、僕が好きなのは「店主のこだわり」を感じられる仕事ぶり、空間です。そのこだわりに共感した人だけが集まってくれればいいというのは、僕のサロンもそう。一人になって対応できる人数が限られているので、僕の考え、作るスタイルに共感してくれる人だけでいいんです。自分勝手のようですが、誰かに合わせると自分の軸がぶれてしまうからです。

「こだわり」を持つためにも、下積みと言われる修業期間は必要です。僕は約30年サロンに所属して、さまざまなお客様の髪に向き合ってきました。だからどんな人にも対応できると自負しています。そして、経験が増え、技術をつきつめていくことで「突拍子もないデザインではなく、普通だけれど洗練されているスタイル」が確立されていきました。 この1年は、一人サロンのあり方を試行錯誤しながらやってきて、これでいいんだというのがわかったのも収穫でした。

今は面貸しやシェアサロンが増えたせいか、すぐに独立してフリーランスになる美容師も多くいます。働き方が多様化しているので、それが悪いことだとは言いません。しかし、美容師はどれだけ経験を重ねるかが技術を高めるために大切なことです。 さまざまな髪質に触れ、お客様の多様なリクエストに応える。そのなかで技術が磨かれていくと思います。ショートボブが得意、デザインカラーが得意……。得意な技術があることは大切だけれど、それだけになってしまうと美容師としての寿命は短いように思います。

冒頭に話をしたように、一人は自由です。自由だからこそやりたいこと、好きなことができます。しかし、やりたいことばかりやっていては、経験が増えても狭い範囲の経験になってしまう。独立を考えているなら、それまでにさまざまな経験をすることが必要です。これまで話をしてきた美術館やカフェ巡り、旅も僕にとってはそのひとつです。これは好きなことなんですけどね。 僕のこの体験談が、みなさんの「やりたいことをやる」きっかけになればうれしいです。



居心地のいいサロンはまだまだ進化中


↑昨年4月オープン当初の店内。



↑(左)新しく仲間入りした高橋成樹さんのオブジェ。なぜか子どもに人気とか。 (右)デンマークの建築家、家具デザイナー、ハンスJ.ウェグナーのチェア。ペーパーコードで仕上げた美しい座面が印象的。当初、カット用のイスにしようと思っていたが、施術には向かないとわかり、インテリアとして飾っている。  


↑オープン時に工事が間に合わなかった水栓も無事に完成。ジョン・ポーソンのミニマムなデザインがお気に入り。レバー式なので、指1本で操作できて便利。 


撮影/廣江雅美 取材・文/岩淵美樹



↑「ヘアデザインの可能性を広げるレザーカットの入門書」薫森正義〔SHI/GE〕著。書籍についてもっと詳しい内容が知りたい!購入方法を知りたい方はこちらをご覧ください!予約受付も始まりました。



「SHI/GE 薫森正義さんの発信!学びのサロン」連載のバックナンバーはこちら

 

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