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みなさんは朝ごはんを食べているでしょうか。「ギリギリまで寝ていたい」「朝は食欲がない」など、さまざまな理由で、“朝食抜き”の方もいらっしゃると思いますが、時間栄養学という分野では、人は朝、食事をとることで体内時計にスイッチが入ることが証明されてきています。私自身も、朝食に炭水化物とタンパク質を摂取した方が、仕事の効率や集中力が上がることを実感しています。
そこで今回は「毎日に特別な朝食を」というコンセプトで、100%ハンドワークでジャムやはちみつの製造販売を行なっている「びんのおのや」さんをご紹介したいと思います。脳のエネルギー源はブドウ糖ですから、ガソリン満タンで朝から活動できますよ。お話を伺ったのは代表の高城友貴さんです。(吉川千明)
高城さん:
「びんのおのや」の高城友貴と申します。どうぞよろしくお願いします。
Profile
びんのおのや
高城 友貴(たかぎ ともき) さん
1973年、山形市生まれ。小学5年生からアルペン競技スキーを始め、大学卒業まで選手生活を送る。引退後は両親が営んでいた「ペンションおのや」に就き、接客や企画に携わる。2016年、仙台で「びんのおのや」を立ち上げ、ジャムやはちみつの製造販売をスタート。
2016年からスタートしたということですが、私が「びんのおのや」さんのことを知ったのは妹からの情報でした。
高城さん:
はい。実は姪がスキージャンプ選手なんです。吉川さんの妹さん神崎貴子さんはオリンピック選手のケアも担当なさるほどの方。その神崎さんに、山形の合宿で姪がお世話になったことがありました。その時の宿泊先としてご利用いただいたのが、両親がかつてやっていたペンションの客室。昔とった杵柄で母が料理をして。朝食には「びんのおのや」のジャムやはちみつをお出ししました。それをとても気に入ってくださったようでした。
吉川:
帰ってくるなり妹から連絡が来て、「食事がとても良かったの。朝ごはんに出た無添加のジャムやはちみつ。感動したわ」と。私は添加物だらけのジャムや、はちみつとは名ばかりのニセモノにとても手厳しいので。
高城さん:
(笑)。確かになんでそんなにいろんなもの入れるの? ジャムは砂糖で煮るだけで美味しくできるのに、とは思います。
↑高城さんのご両親は、2008年まで山形の山寺というところでペンションを経営(今はクローズ)。写真はペンション時代の朝食を再現していただいたものですが、手作りのジャムなどを添えてこんな朝食を出していたそう。
高城さん:
ペンションは私も手伝っていました。その頃の経験を活かしたというのが起業の流れです。今は仙台を拠点に、「to」と「so」という2つのシリーズで商品を展開しています。toはパンと一緒にの「と」、soは素材そのままの「そ」を意味しています。
↑ロゴもtoとsoを組み合わせてデザイン。オレンジの丸は、朝食にふさわしい朝日をイメージ。「イベントなどご一緒させていただいている、仙台のデザイン事務所さんの提案で、このような素敵なロゴになりました」(高城)
高城さん:
ジャムにする果物は、山形産と宮城産が中心です。どんな場所で誰がどうやって作っているのか、きちんと説明できることを自分に課しています。生産者さんの農園に出向いて、できるだけ収穫にも携わらせてもらうようにして。素材とじっくり向き合って、美味しいバランスを考えて、あとは銅鍋でコトコト。レシピは至ってシンプルです。
ただ、りんごとさくらんぼはオーガニックではありません。有機栽培の基準でおいしく作るのが本当に難しい果物なんです。すぐに虫や病気のリスクにさらされてしまいます。天候にも敏感です。もどかしいところではあるのですが、宝石のようなさくらんぼも、農薬の力を借りてこそ。なので鍋にかける前は塩と流水で丁寧に洗浄します。そのほかはオーガニックです。変わりどころでは、ルバーブでしょうか。
↑(上)一粒一粒種を取り除いて煮込んだ「さくらんぼジャム」。右/優しい味わいの「佐藤錦」 左/奥深い味わいの「紅さやか」各140g ¥972(すべて税込)
(下)1890年に日本で初めて栽培されたのが、宮城県の七ヶ浜だと言われているルバーブ。七ヶ浜は東日本大震災で津波の被害を受けたが、今は公園や畑があり、畑の中の一画にルバーブが栽培されています。左/ルバーブの茎を使った「ルバーブブラックベリージャム」 140g ¥972(税込)
吉川:
なかなかスーパーでは見かけませんが、ルバーブは抗酸化物質も豊富で、体の老化防止や免疫力アップにも。爽やかな酸味があって、このジャムは夏の朝食にもいいですね。
さてさて、話題をsoシリーズに移しましょうか。まさに素材そのままがタッグを組んだ「生はちみつとバラの花」は、「びんのおのや」さんの顔と言ってもいいのでは? 私の中でもマイベストです。
↑生はちみつと食用バラのハーモニー。花びらを真空ブレンダーで細かくし、より香りが広がるように手間をかけています。
高城さん:
はちみつは山形県の最北部に位置する「真室川養蜂」の三宅清一さんから譲り受けています。三宅さんは林業をやっていて、大工の棟梁でもあり原木キノコの栽培家としての顔も持っている方。山を知り尽くしていらっしゃって、信頼しかありません。はちみつは農薬が使われている田んぼや畑から2〜3km以上離れたところで採蜜しています。残留農薬や放射能は不検出。加熱や加糖も一切行いません。100%天然です。
↑山に運ばれるのを待つ養蜂前の巣箱。アカシアの花が咲いたらアカシアの木の下に。ヤマザクラが咲いたらヤマザクラの木の下に。写真右は真室川養蜂の三宅清一さん。
高城さん:
一方バラは、「坂元ローズガーデン」さんの食用バラを使わせてもらっています。主の坂元啓一さんは、無農薬無化学肥料で食用バラを育ててきた方。母がたまたま道の駅で買ってきたローズティーが美味しくて。バラの花びら100%だけで作られたお茶で、製造・販売元の坂元さんに連絡をしたのがきっかけでした。ただ、坂元さんは年齢を理由に今年、農園を閉めることに。「今あるバラは全部使っていいよ」と言ってはくださっているものの、底はついてしまいます。この先どうしたものかと案じていましたが、いろいろ調べていくうちに、またもや素晴らしい食用バラ専門の生産者さんに出会うことができました。現在は、坂元さんのバラとともに使わせてもらっています。
↑山形県村山市で無農薬の食用バラを育てる「ナカイローズファーム」。代表の中井友實榮さんは、「バラの学校」も開校。高城さんも育て方を学んでいるそう。
女性ホルモンのバランスを整えて脳をリラックスさせるバラの香り。しかもバラはポリフェノールやビタミンC、食物繊維がたっぷり。そして生はちみつは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、酵素…、なんと150種類以上の栄養成分を含みます。
高城さん:
美容や健康により気遣いたい方に召し上がってもらえたら、うれしい商品です。生はちみつのスーパーフード効果は、大病を経験した自分自身が身をもって感じています。
吉川:
はちみつについては、私からもう少し詳しくお話させてもらいますね。
はちみつの材料は、言うまでもなく花の蜜。ハチたちは巣の中でも仕事をしていて、持ち帰られた蜜の純度や糖度を高め、濃厚にし、「濃蜜」していきます。どうやって、純度を高めるかというと…。 ミツバチたちは自分の羽を使うの。採ってきたばかりのサラサラした花蜜は水分が70%くらいあるのですが、羽で煽って水分を飛ばして、20%くらいまで濃縮。それを今度はミツロウで密封。蓋をして、時間をかけて熟成して作り上げていくんです。つまり壺出し、甕出し熟成というわけです。
発酵熟成だから、味も栄養素も高まる。すぐに採ったらダメなの。待たないと。待てない会社さんは、サラサラ状態で採取したはちみつに水あめや転化糖を加え、加熱して水分を飛ばしてしまう。そんなことをしたら、森が、花が与えてくれたビタミンもポリフェノールも壊れてしまいます。味も「ただののっぺりした砂糖」。 とても生はちみつとは呼べるものではありません。
高城さん:
たくさんのはちみつが出回っています。お値段もいろいろ。イベントなどでは「どう選んだらいいかわからない」というお声もよくいただきます。
「生はちみつ」「純粋はちみつ」は、厳しい品質基準を満たし、専門店などでよく売られているはちみつです。糖分や添加物が加えられておらず、非加熱か加熱したとしても35〜38℃程度(巣箱の温度範囲)のもの。芳香成分が失われず、風味が豊かな点が魅力です。
一方、水あめなどの糖分を加え加熱したものは「加糖はちみつ」になります。生や純粋はちみつと比較すると、栄養価は劣ってしまいます。
吉川:
びんのラベルを見て、人口甘味料や添加物の有無は確認してほしいと思います。「びんのおのや」さんの生はちみつは正真正銘、非加熱の生はちみつです。ぜひ、本物のはちみつの美味しさを知っていただけたらと思います。ひと工夫していただくのもおすすめですよ。
↑びんのおのやさんのジャムはパンにとても合う!私はトーストにバターを塗ったあと、マーマレードジャムに少し天然の塩をかけていただくのが好きです。夏のイチオシレシピは「生はちみつとバラの花」のノンアルコールビール割り。ものすごく美味しいノンアルドリンクになります!(吉川)
高城さん:
参考になります。我が家でも早速試ししてみたいと思います。今回このような機会をいただいき、吉川さんはもちろん、読んでくださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
びんのおのや 商品購入ページ(こちらをクリック)
Profile
美容家・オーガニックスペシャリスト
吉川 千明(よしかわ ちあき)
広く深い知識と豊富な経験を生かし、美容、食、漢方、女性医療など、ナチュラルで美しいライフスタイルを様々な角度から提案。ナチュラルビューティーの第一人者として活躍の場はコスメのプロデュース、サロンのコンサルティング、講演など多岐に渡ります。
(2024. 7.31 文/野村始子 写真提供/株式会社ブライト・びんのおのや)
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